デジタルディスラプションへの道

自ら破壊的イノベーションを起こすには

デジタルトランスフォーメーションへの9つのステップ

The Economist Intelligence Unit 調査レポート

デジタルディスラプション (デジタルテクノロジーによる破壊的創造・破壊的イノベーション) は、あらゆる業界の経営層の関心事となっています。 保守的な企業のシニアエグゼクティブが自社の「Uber化」、「Amazon化」に懐疑的である一方、先見性を持つエグゼクティブは、新しいデジタルビジネスの創造とデジタルトランスフォーメーションによる、自社のデジタルディスラプションのあり方を模索し始めています。


デジタルトランスフォーメーションの実現にはロードマップとタイムラインが必要です。 各企業によってトランスフォーメーションへの変遷はユニークで複雑である一方、あらゆる業界に渡って一貫した9つの重要なステップがあります。 自社のデジタルディスラプションを計画するきっかけとなる、この重要な9つのステップについて紹介します。



独自のディスラプティブビジネスの定義

最初のステップは、新しいテクノロジーが設計され、データセキュリティで保護された将来の自社の姿、エンドゲームビジネスモデルを設計することです。


1. エンドゲームビジネスモデルの設計:


ディスラプションについて長年の経験を持つ専門家であり、「キャズム」の著者であるジェフリー・ムーア氏は、近年「企業はおよそ10年ごとに、極めて高い収益成長率の見込める新しいビジネスを獲得できるようにしなければならない。」とアドバイスしています。※1 これはディスラプションを意味します。 しかし、このような未来追求型のビジネスモデルは、計画が難しいビジネスを急進的に立ち上げることであり、保守的な企業は結果を恐れて足踏みをしがちです。 このような場合に始点となる、3つのポイントがあります。

  • 自社のデジタルアセットから始める: どの企業にも、進行中のデジタルイニシアティブがあるはずです。これらを分類、再検討して起点として使用します。
  • クラウドを利用して、新しいビジネスモデルを設計するためのイノベーションプロセスを開始する: クラウドは、新しいビジネスモデルの実験を迅速に、かつ失敗をローコストに抑えられる環境を提供します。 この環境が、継続したイノベーティブなトランスフォーメーションを可能にします。
  • 早い段階でデジタルトランスフォーメーションを実施している他者から、将来のデジタルビジネスに有益なモデルを学ぶ:The Economist Intelligence Unit(EIU)は2015年に、350の銀行家に対して、対抗勢力であるデジタルチャレンジャーの競争優位性は何と考えるかについて調査を実施しています。※2 下図はその調査結果です。


これらの優位性は、保守的な企業がデジタルビジネスモデルに組み込まなければならない特性です。 自社ビジネスのデジタルディスラプションを実現するには、自社のビジネスを破壊する可能性がある他者の優位性について、設計段階で注目することが必要です。


2. ギャップ分析と強みの評価:


2つ目のステップは、現在の資産と負債を、将来のビジネスモデルに対して評価することです。


保守的企業のデジタルディスラプションに関しては、レガシーテクノロジーや、技術力のある人材を魅了できないといった弱みにフォーカスした意見が多く取り上げられています。しかし、保守的な企業が持つ強みについて過小評価すべきではありません。


「一部の企業はデジタルディスラプションについてある種の劣等感を持っています。」と、デジタル化した調達サービスを提供するデジタルディスラプティブ企業 Proxima Groupの共同経営者 スコット・スパークス氏は述べています。 「しかしこうした企業は、顧客情報、ブランド名、当局の認可など、有益な資産を膨大に所有しています。 どれも新しいデジタルビジネスに組み込むことのできる強みなのです。」


3. デジタル化のための手段の決定:


3つ目のステップはデジタル化のための手段の決定です。 保守的な企業の中には、デジタル化のための手段として、企業買収や提携を検討している企業があります。


多くの場合保守的な企業は、既存のビジネスモデルを脅かす新しいカルチャーやビジネスの構築に苦労します。 一方企業の新しい対抗勢力となりえるチャレンジャーは、競争相手に打ち勝つために、自身よりも巨大な競合企業の資産やブランドを必要とします。最終的に、この保守的な企業と対抗勢力が手を組むことは、商品の市場投入の時間を早めることを可能にするのです。市場投入の迅速化は今のデジタルの時代において、非常に有利となる点です。


EIUのディスラプションに関する調査では、45%の保守的な企業と53%のデジタルチャレンジャーが、企業提携または買収によって手を組むことが最善の戦略と考えていることが示されています。 デジタルディスラプションは、常にゼロサムケースとなるわけではありません。保守的な企業とデジタルチャレンジャーの提携や買収が、最善かつ最速の手段となりえるのです。


※1 Zone to Win: Organizing to Compete in an Age of Disruption, 2015
※2 The Disruption of Banking, Economist Intelligence Unit, October 2015.


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